「たとえば、軍艦というものはいちど海洋航海に出て帰ってくると、船底にかきがらがいっぱいくっついて船あしがうんと落ちる。
人間もおなじで、経験は必要じゃが、経験によってふえる智恵のとおなじ分量だけのかきがらが頭につく。
智恵だけとってかきがらを捨てるということは人間にとって大切なことじゃが、老人になればなるほどこれができぬ。」
「人間だけではない。国も古びる、海軍も古びる。かきがらだらけになる。」
「山本権兵衛という海軍省の大番頭は、かきがらというものを知っている。日清戦争をはじめるにあたって、戊辰以来の元勲的な海軍幹部のほとんどを首切ってしまった。この大整理は海軍のかきがら落しじゃ。(中略)おかげで日本海軍の船あしは機敏で清国戦隊をどんどん沈めた」
秋山真之・正岡子規の会話より。
海軍や和歌の世界をひっくり返そうとするときの会話がすごく心に残った。
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- 感想投稿日 : 2021年10月15日
- 読了日 : 2021年10月15日
- 本棚登録日 : 2021年10月15日
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