ミステリー好きの職場上司から借りた一冊。
誤解を恐れず例えるなら、
アニメの考察好き・解釈好きのようだなと感じた。
死刑囚・加害者のルーツを辿る中で、その者の幼少期や親の代に留まらず、先祖、果ては遠い過去の民族移住の経緯や生まれ育った村の歴史などをもとに様々な思いを巡らせる本作は一種のフィクションとして楽しんだ。
***
筆者は冒頭で、この日本殺人巡礼を決行した理由として「人を殺めた者と人を殺めない者(筆者)の境界線はどこにあるのか」「そもそも境界線など存在せず、殺めなかったのは、単なる偶然に過ぎなかったのか。その答えを導き出したかった」と述べている。そして、あくまでも想像と可能性の話という大前提のもと、加害者のルーツに何らかの“匂い”--理由と呼ぶには淡すぎる“理由や答えの片鱗”のようなもの--を感じ取っているようだ。
私は罪を犯した者と、(今のところ)犯していない者との間に、大きな隔たりがある場合と、そんなには隔たりがない場合があると思う。そして後者が犯罪者になってしまった所以には筆者の綴るルーツや時代があった可能性が十分にあると思う。
しかしいずれにしても「こういう理由があって、こういう原因で、このような結果になってしまいました」とはならないケースもあるのではなかろうか。説明がつかないから、こんなことになってしまったという事だって往々にしてあるんじゃないだろうか。
だからこそ、本書は一種のフィクションとして、アニメの考察・解釈をするように、あくまでも想像の範囲を出ないものと捉えるのが良いと感じた。
- 感想投稿日 : 2022年9月24日
- 読了日 : 2022年9月24日
- 本棚登録日 : 2022年9月18日
みんなの感想をみる