本作「城」は海辺のカフカでも主人公のカフカ少年が挙げていた作品の一つ。カフカは「変身」しか読んだことがなかったので一つ長編にも挑戦してみようと思って読んだのが本作。前回の読書記録からだいぶ時間が経ってしまったのはもちろん怠惰故ではあるがこの作品自体の難解さも少なからず手伝った。
主人公のKは測量士という身分を与えられて、その職務を全うせんと城に近づく。近づけども近づけどもそこにあるはずの城は遠のくばかり。保険局勤務だったというカフカ自身も所属している官僚組織の無駄な手続きの多さと手続きが自己目的化している実態に嫌気がさしていたのだろう。前半はカフカの毎日の仕事への愚痴を小説という形を通して、聞かされているみたいで面白く読むことができた。
結局、Kは城の中枢までたどり着くことができず、縉紳館でのやりとりで作品は終わる。未完の大作ということでもしこの続きがあるなら、城の頂点にはどこまで回りくどい人間がいるのか非常に気になるところ。案外、適当な高田純次みたいなやつがトップだったりしてね。
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- 感想投稿日 : 2023年2月23日
- 本棚登録日 : 2022年2月13日
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