一言でまとめると、友人の妻を譲ってもらう話。
学生時代、友人の妹に思いを寄せていた主人公。親友も恋心を抱いていると知り身を引くのだが、数年後に親友とその妻となった女性の仲は冷えていた。
忘れていた思いが蘇った主人公は親友から女性を取り戻したいと願うが…。
読みやすい文章だし、後半の主人公の懊悩とジタバタ加減が面白い。純文学のはずだが三谷幸喜のコメディーのような印象を持った。
ただ、読後に時代背景を確認すると、執筆当時は「姦通罪」が施行されていた頃であり、主人公の行動は犯罪に該当すると知った。なるほど、だから主人公が親族から見放されたり、女性がこれから心中するかのような覚悟を見せるのか、と理解できた。
小説としても楽しめるが、時代背景を知ると別の感想が生まれる作品。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2022年7月28日
- 読了日 : 2022年7月28日
- 本棚登録日 : 2022年7月21日
みんなの感想をみる