高校時代の友人が貸してくれた(ありがとうございます)。
荘介さんは、まあクズなんだけど、道さんに対して、人格否定をしたりしないのが良い。容姿についても、地味で自分の好みではないとは言ってるけれど、それは好みの問題であると片付けているのが好感が持てる。単純に素直な人で、もらえるものは全部もらっておく、全てを受け入れて否定するということをしないのが良いなあと思った。結婚したいとは思わないけど。
でも、結婚生活ってこんな感じなのだろう。人からどう言われるとかではなくて、自分たちで築き上げていくものなのだと思う。もともと完璧で出来上がった二人が、好き合って家庭を作るものではなく、不完全な二人が、少しずつ、時に衝突しながら家庭を作っていくのだと思う。昔はお見合い結婚がメインだったから殊更そうなのだろう。
好きなストーリーは「長い糸」という、編み物をしている道さんと、出来上がっていくビル、木が生い茂りまた枯れていくという季節の移り変わり、の三つの時間の流れが端的に、しかし美しく描写されていると感じた。
あと、はじめのエピソード(「夜の道」)で道さんが
「わたしあなたと結婚できて良かった」
「こんな夜中に一緒にさんぽしてくれる人がいるっていいわね」
「夜中でもちゃんと信号はともっているし」
「川は流れているのですね」
と言っているところが大好きで、ウルッとしてしまう。
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- 感想投稿日 : 2018年11月14日
- 読了日 : 2018年11月14日
- 本棚登録日 : 2018年11月14日
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