発売当時、単行本を読んでから
数年ぶりに再読
ある日、町から人々が消えた。
「消失」現象が定期的に起こる世界
家族や友人を失った人たちと、消失に対抗すべく活動する「管理局」に属する者達の日々
消失の現象自体、消失に関する管理局の人間たちの持つ能力、キーアイテムで出てくる古奏器とその再魂(調律)、
同一性障害の治療として人が
本体、別体に分離する現象、など
三崎さんが1アイデアで短編一作
いけるような要素(テーマとしてはすでに扱っている)が散りばめられていて濃い。
数章にわたって、立ち位置の違う人物達の視点で消失に触れ、繋がっていく。
描かれてない消失を経験した人達もいるのだろうけど、次の別の消失に向けて希望を繋げていく線(人のつながり)が描かれている。
悲しみがあり、全体的に静かな話かと思いきや章によって動きがあり、別の話を読んでいるような気分になる。
今のコロナの状況と照らし合わせることも出来る(死ではなく、二度と会えなくなること)だけど、亡くなった親族や突然引っ越して誰もいなくなった友の家とか、今ここから見える場所、建物にある思い出のことを考える。
前に読んだ時より、沁みた。
追記:
読んでいる最中に「ニセモノの妻」を購入
「失われた町」の中にも妻の本体、別体と生活する夫が出てきたりする。
「古奏器」は別の話に出てくる職人を思い起こす。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年2月5日
- 読了日 : 2021年2月5日
- 本棚登録日 : 2018年7月7日
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