老人介護センター、ホスピス施設と寺院を一体化させた複合型病院であり、
終末医療の最先端施設である碧翠院桜宮病院が舞台の物語。
東城大学が生へ向かう病院であるなら、
桜宮病院は、死を受け入れ、向き合う病院として描かれてる。
医者は、生を繋ぐ者というイメージが強かったが、
そのためには、死と対峙する者も必要なんだ、
と、この物語によって知ったように思う。
また、桜宮病院院長 桜宮巌男が語った
人は誰でも知らないうちに他人を傷つけている
存在するということは、誰かを傷つける、ということと同じだ。
という言葉が胸に来た。
と、同時になぜか映画「キャシャーン」の世界が、
頭に浮かんできた。
そして、
巌男の語るその言葉の意味する所が明らかになった時、
「キャシャーン」の主題歌だった宇多田ひかるの
「誰かの願いが叶うころ」の歌詞の一節
誰かの願いが叶うころ あの子が泣いてるよ
みんなの願いは同時には叶わない
が、図らずも浮かんでしまった。。。
他人を傷つけながらしか生きていけない人は、
その事を受け入れ、
それでも前を向いて精一杯歩くしかないのだろうね。
ちなみにこの桜宮巌男氏、
あの火喰い鳥こと白鳥圭輔を唸らせるほどの舌鋒鋭い方です。
バチスタの速水先生と戦わせてみたいです(議論という意味で)。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
海堂尊
- 感想投稿日 : 2012年3月8日
- 読了日 : 2012年2月28日
- 本棚登録日 : 2012年2月28日
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