螺鈿迷宮

著者 :
  • KADOKAWA (2006年11月30日発売)
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老人介護センター、ホスピス施設と寺院を一体化させた複合型病院であり、
終末医療の最先端施設である碧翠院桜宮病院が舞台の物語。

東城大学が生へ向かう病院であるなら、
桜宮病院は、死を受け入れ、向き合う病院として描かれてる。

医者は、生を繋ぐ者というイメージが強かったが、
そのためには、死と対峙する者も必要なんだ、
と、この物語によって知ったように思う。


また、桜宮病院院長 桜宮巌男が語った

人は誰でも知らないうちに他人を傷つけている
存在するということは、誰かを傷つける、ということと同じだ。

という言葉が胸に来た。

と、同時になぜか映画「キャシャーン」の世界が、
頭に浮かんできた。

そして、
巌男の語るその言葉の意味する所が明らかになった時、
「キャシャーン」の主題歌だった宇多田ひかるの
「誰かの願いが叶うころ」の歌詞の一節

誰かの願いが叶うころ あの子が泣いてるよ
みんなの願いは同時には叶わない

が、図らずも浮かんでしまった。。。


他人を傷つけながらしか生きていけない人は、
その事を受け入れ、
それでも前を向いて精一杯歩くしかないのだろうね。



ちなみにこの桜宮巌男氏、
あの火喰い鳥こと白鳥圭輔を唸らせるほどの舌鋒鋭い方です。

バチスタの速水先生と戦わせてみたいです(議論という意味で)。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海堂尊
感想投稿日 : 2012年3月8日
読了日 : 2012年2月28日
本棚登録日 : 2012年2月28日

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