葬儀の日 (河出文庫 ま 1-3 BUNGEI Collection 初期作品集)

著者 :
  • 河出書房新社 (1993年1月8日発売)
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本棚登録 : 482
感想 : 58

松浦理英子さんの初期短編集で3編収められている。
「葬儀の日」
お葬式で泣くことを生業としている女性が主人公で、同じ葬式で笑い屋として派遣されてくる彼女との交流を描いた作品。
誰もが持っている泣き笑いという感情を分担させることによって、自分を見つめなおす機会を与えられた。
「乾く夏」
幾子から見た自殺願望のある友人彩子を描いた作品で、まあまあこれは! と思った。
この彩子という人物がアニメ化された某作品のヒロインを彷彿させられた。
光のある終わり方に救われた。この短編集の中で一番好きな作品。
「肥満体恐怖症」
大学生の唯子は一年だけという約束で寮で暮らしている。
しかし、同部屋の先輩三人はみな肥満体。
唯子は嫌いを通り越してデブを憎んでいる。
コメディ的要素を含みつつ、唯子が次第に追い込まれていく心理描写が秀逸だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本文学(女性作家)
感想投稿日 : 2014年6月20日
読了日 : 2014年6月17日
本棚登録日 : 2014年6月20日

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