いつも行く図書館にイベント棚があり、そこで『旅の本』として紹介されていた一冊。
パラパラと中を見ると、国内外の19の町+夢での町を書いた旅エッセイのよう。
いくつか気になる町があったので借りてみた。
「さびしい町」とは、どうということのないふつうの町のこと。
と著者は書いている。
ごく当たり前に人々が生活している町です。
そしてもちろん、さびしい町が好きだから、このエッセイを書いたのでしょう。
著者の松浦さんはフランス文学者でもあるので、フランスはもちろんの事、多くの国々を訪れている。
これは、かつて通り過ぎたさびしい町のあれこれについての「昔話」だそう。
なので旅の詳細は曖昧なのに対し、くっきりと記憶に刻まれているその町の空気や感じた事などは丁寧に記されている。
そしてほとんどの旅は、奥様と一緒なのが素敵。
連れがいるからこそ出来る体験もあるはず。
中には「まだ妻ではなくガールフレンドだった女性」とのワクワクした旅もあった。(韓国・江華島)
ーーーあの韓国旅行はわたしにとっての「始まり」の……人生にいくつもある複数の「始まり」の……一つだったと今改めて思う。(p190)
どの町も細かく描写されている訳ではないが、奥行きのある文章が心に染みる。
読者は昔話を聞きながら、自分の内側を見つめ、人生と向き合う(振り返ったりこの瞬間を感じたり、明日を想像したり)一冊になるのかもしれない。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
2023
- 感想投稿日 : 2023年5月21日
- 読了日 : 2023年5月20日
- 本棚登録日 : 2023年5月20日
みんなの感想をみる
コメント 2件
ひまわりめろんさんのコメント
2023/05/21
aoi-soraさんのコメント
2023/05/21