ぼくがいちばん ききたいことは

著者 :
  • ほるぷ出版 (2019年5月29日発売)
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本棚登録 : 95
感想 : 10
4

1年半前両親が離婚したときから生家を出て、母親とそのボーイフレンドと暮らす12歳のデイモンは、それを不満に感じ、次に父親の家を訪問する際から父親の家で暮らしたいと考えていた。ところが、引っ越し荷物を持参して尋ねた生家(父親の家)は、今までと少し様子が違い、ドアには鍵がかかっており、チャイムを鳴らしても応答がない。なんとかガレージ側から家に入ることはできたものの、そこには、今までなかったものがあり、他人が住んでいることは明白だった。彼の部屋もすっかり様子が変わっていたが、何より驚いたことは、父親の寝室に、父親と、知らない女性が寝ていたことだった。先に起きてきた女性はアマイと名乗り、3週間前に結婚したのだと言う。

両親の離婚から居場所を見つけられずにいる少年の不安定な気持ちを描く、この「家に帰る」の他、家族を巡って揺れ動く少年を主人公にした話を全部で7編収める短編集。



*******ここからはネタバレ*******

その多くが、問題の提示で終わっているため読後感は良くないが、大人が悪気なくしていることがいかに少年を傷つけたり不快にしているのかを思い知らせれる話でもある。

また「ブリーフ派、それともボクサーパンツ?」では、子どもの、大人への期待値の大きさを知らされる。
でも実際、恋愛の際に、会ったこともない恋愛相手の子どもに、そこまでの辛抱強いアプローチができる人は稀ではないのか。

短編集であることを知らずに読み始めたので、冒頭の「家に帰る」が、その後どうなるのか期待したので残念。児童書なので、できれば希望を持てる終わり方をして欲しいのだが。

内容は平易で読みやすいが、家族問題が深刻でいささかブラック。
中学生以上にオススメします。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 児童書
感想投稿日 : 2020年1月11日
読了日 : 2020年1月11日
本棚登録日 : 2020年1月11日

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