勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋 (2020年3月10日発売)
4.04
  • (36)
  • (31)
  • (19)
  • (2)
  • (3)
本棚登録 : 497
感想 : 38
5

勉強はオモロい。自分の知恵・知識が更新されてモノの見方が変わる、モノの見方が変わるとそこにあるものが別の様相を為す。そこにあるものだけで勝手に自分なりに楽しめるから。
でも本著を読んでからさらにおもろさに対する解像度が高くなったように思う。
楽しむためには仮固定が大事である、アイロニーとユーモアは原理上無限遠にまで発散しうる。そこで自分なりのこだわり(ここでのこだわりは強くて積極的なというよりなんとなくであり、能力の限界など消極的ともいえるものだと思う。)によってその「つながりすぎ」を切断する。どこまでも繋がれることを引き受けたうえで、一旦現時点での解釈をする。その仮固定した状態はまた新たな知識・情報・経験によって更新される。つまり我々は常に途中である。
今まではある正解や答えがあるように思えて、意思の表明を行えていなかったように思う。常に途中であることを踏まえると、もう少し軽く考えて、遊べばいいのかもしれないと感じた。
今まではエンジニアであり、読書家であるとなかなか表明することができなかった。いくらでも上がいるし、何をもってそう言えるのかもわからない(エンジニアと言ってもコードが書けなかったり、流行りの技術に追いついていなかったりする)。ただ、言語自体現実から分離しており、必ず言語と現実の間には差異がある。なんとかその差異を言語に押し込める、享楽的に、マゾ的に。言語化こそが行動である。
その享楽的なこだわり、つまり自分のコアは行動によって更新される、それこそが来るべきバカとのことだが、すでに成っているバカであり、まだ見ぬバカでもあるのだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年4月8日
読了日 : 2023年4月8日
本棚登録日 : 2023年4月8日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする