古代ギリシア発掘史 (知の再発見双書 46)

  • 創元社 (1995年3月1日発売)
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ディドロはこう言っています。
「廃墟は私のなかに偉大な思想を呼び起こす」

まだ、ギリシアの遺跡が今のように発掘されず、
奇々怪々な土地だったとき、
欧州人にとってその土地は、
新たな発想や思想を呼び起こす聖地だったようです。

今では発掘も復元も進み、
すっかり観光地のギリシア。

いまに至るまでには戦禍も乗り越えてきました。

アクロポリスがオスマンに占領された時の話です。
弾薬が無くなったオスマン占領軍は、
遺跡の列柱を崩し、中の亜鉛で弾薬を作ろうとします。
対するギリシア人は、
「アクロポリスの列柱に手を触れるな。弾丸はこちらから送る」
と訴え、味方を狙う敵方に、本当に弾薬を送ったそうです。

そんな犠牲を払いながら、ギリシアの遺跡群は守られてきたわけです。

しかし、古代ギリシアの輝かしい歴史を語る、
多くの石像やレリーフは他国の先進国にあります。

盗掘や様々な政治背景を経て、そうなったわけですが、
本来それはギリシアにあってしかりのもの。

「あの石像たちは、わずかな空にはがまんできない」
ギリシアの偉大な詩人ヤンニス・リトソスは、ギリシアの現実をこう嘆いたそうです

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史(世界史)
感想投稿日 : 2008年11月15日
本棚登録日 : 2008年11月15日

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