ぼくはお金を使わずに生きることにした

  • 紀伊國屋書店 (2011年11月26日発売)
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世捨て人を目指す話だと思ったらさにあらず。1年の期限付きで金を使わない生活を送ってみる、という実験、またはチャレンジ。昔TV番組であった、懸賞で当たったものだけで生活する、というのを思い出した(見ていないけど)。金を使わない、といっても自分ルールだから、誰かが無料でくれたり、拾ってきたものは使ってよいし、パソコンやメールといった文明の利器もOK。条件ではなすび氏よりだいぶ楽そうだ。

そういうことをやった背景には、貨幣経済に対する疑問や、何より大量生産/大量消費と環境破壊に対する著者の危機感があり、それには一部同意するけれど、アピールとしては個人的にはあまり響いてこない。金を介在させず、共同体で協力して作物や労働をシェアし、ものを大切にして暮らす、というライフスタイルは、要は100年、200年前に日本に普通にあった村の暮らしなのでは? そういう暮らしはイギリスにもあったのではないかと思うのだが。当時の暮らしの中に、自給自足、またはそれに近い形でやっていくための知恵はそれこそ山のようにあると思うのだが、それじゃなんで駄目なんだろう?

金を使わずに暮らすノウハウも、無料交換サイトの紹介などはともかく、イラクサをお茶にしたり、ヒトヨダケでインクを作ったりする方法はあまり役に立ちそうにはない。牧歌的な暮らしの楽しさが語られるわけではないし、途中で挫折しかかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史・ドキュメンタリー
感想投稿日 : 2022年1月15日
読了日 : 2022年1月15日
本棚登録日 : 2022年1月15日

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