電話男 (ハルキ文庫 こ 5-2)

著者 :
  • 角川春樹事務所 (2000年6月1日発売)
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感想 : 16
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図書館で隣にあったので、最初小林泰三さんかと思って借りた本(笑)

読んでからもしばらく全然気づかなかったし。

電話男って電車男みたいだなと思ったけど、電話男は1987年に発表された作品なので、20年近く前。

「電話男」と「純愛伝」の中編2編。

「電話男」は電話男とはなんぞやについて一人語りで聞かせるような話。
電話男は電話をかければ聞いてくれる相手。ただそれだけ。電話男というのは職業?のようなものなので、総称であり、老若男女いる。

電話男は反政府的というような捉えられ方をされていて、公安を筆頭に様々な団体から滅ぼしてしまおうと考えられている。

電話男になるのはおおまかにいって2タイプ。
根っからの電話好きか悟りタイプ。天啓というか。

語り部のチューターによれば「電話とは、心のかけ橋であり、電話男とは心の彼岸なのだ」

電話男を迫害する存在として、破滅の淵に追い込んだのが『UFO研究会』。超簡単に言ってしまえば宗教団体みたいな感じ。

知恵を重視するのが電話男なら、感覚を重んずる集団といえる。
結論から言えば3年前にU研は消滅した。10万人に及ぶ市民が忽然と消えた。奇蹟が起きたのだ。

それから電話男も違った様相を見せる。変わりつつある、成熟しつつあるとも言える。

ここまでは電話男を事実(事象)として、客観的に?肯定的に話しを進めていたのだが、ここからな観念的にというか哲学的に話が進んでいく印象。


まあ、全体にシュールな話であった。

「純愛伝」は外伝的な話?
奥さんが電話男になってしまった男性が主人公。



たまには本とのこういう偶然の出会いもいいね。








読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年4月30日
読了日 : 2023年4月30日
本棚登録日 : 2023年4月30日

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