橘川幸夫という人物は、私にとっては「ロッキング・オン」の創刊時のメンバーであり、「ポンプ」という奇妙で興味深い雑誌を立ち上げ、その後広告関係でなんか仕事をしていた人というイメージ。以前、何冊か書籍を読んだこともある。
小説を書いていたとは知らなかった。
2011年になって、2004年に書かれたというこの本を読んだ。
これはキツイ。
登場人物が世の中をわかったように語っているだけに、
そしてそれがグーグル以前の世界観だけに
かなりお寒い内容となっている。
さらに困ったことに、この小説があくまでも著者が伝えたいことを
載せる入れ物でしかないこと。
エッセイ、評論で書かれるよりも、人によっては読みやすいと
思うかもしれないが、それだけでしかないという内容と思えた。
読書の喜びがほとんどなかった。
既知感にあふれる、物言い、主張が
操り人形のような登場人物からありがたそうに語られる。
著者に対する今までの印象が変わってしまった。
雑誌の連載ならまだしも、どうやらこれは単行本の書き下しのようだ。
著者、編集者は10年後にこれがどう読まれるか危惧しなかったのだろうか。
ちなみに著者が結論で登場人物に演説させている「やきそばパン」は
松岡正剛の語る「たらこスパゲティ」と相通じるものがある。
ただ、「やきそばパン」は「たらこスパゲティ」より表層的な印象に思えた。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
現代文化
- 感想投稿日 : 2011年7月1日
- 読了日 : 2011年7月1日
- 本棚登録日 : 2011年7月1日
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