演出家・蜷川幸雄の晩年のエッセーと談話。
1章は過去に『マグナカルタ』という雑誌に掲載された(おそらく)エッセー。
2, 3章はインタビューや談話。
4章は、木俣冬さんによる蜷川幸雄の人生の振り返り?(ぼくにはちょっと難しく、いまいち内容がわからなかった)。
もっともよかった節は、第1章の「演劇こそが世界をまるごと表現できる」。
そもそも、この本を手に取ったきっかけは、いくつか舞台を見ながら「演劇の本質って身体だよね」と思ったことだった。この本の著者蜷川幸雄も、身体をすごく大事にしているようで、女優宮沢りえのよさも「新しい狂気の身体」との出会いだと表現していたりする。
「絵をやっていた頃のぼくは、自分の生理とタブローが一致せず、どんなにギューッと描きつけても、ただ汚い絵しかできないことに悩んできましたが、演劇だったら、走ったら一発で生理が表現できると思って、演劇に興味を持ちました。」
「演劇は、俳優がいきなり、ウアーッと客席を走り回ったら、それだけで生々しいものが生まれるんです。」
演劇は、俳優の身体を介して〈生〉を表現できる。日本を代表する演出家がそういったことを述べているのを拝見し、少し嬉しくなった次第だ。
あと、蜷川幸雄はやはりいろんな作品を知っていて、話の中にたくさん作品名が出てくるので、それに圧倒されるのもこの本の楽しみ方かもしれない。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年1月17日
- 読了日 : 2020年1月17日
- 本棚登録日 : 2020年1月17日
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