科学と宗教と死 (集英社新書)

著者 :
  • 集英社 (2012年1月17日発売)
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感想 : 35
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「死は鴻毛より軽し」
という話から始まり死を見つめ、精神科医として犯罪者を多く見た著者の話で印象に残ったのは死刑囚と無期懲役囚の精神状態の違い。無期懲役の方が緊張が無く抜け殻のようになるのだろうか?

親しかった死刑囚がキリスト教徒になり、著者も後にキリスト教徒になる。著者はその時目から鱗が落ちたような気分になったらしいが、いかんせん話を読むだけではどのようにその瞬間を感じられるのかがわからないのが少し残念。これは著者の文章に問題があるのではなく、自分自身がその気になって神父から話を聞かねばわからないことだろう。

さて、戦争を経験した著者にとって先の震災は重なるものがあったらしい。それは大勢の人が無残に無くなった情景ももちろんだが、政府の対応に関しても。戦時中の政府は正しい情報を流さずにいた。今回の震災でも政府の発表は後手後手に回っている印象だ。また、広島長崎を思い出させる原発事故。
恐らく戦争を経験された方の中には同じように思われた方が多くおられるのだろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 一般書籍
感想投稿日 : 2012年2月20日
読了日 : 2012年2月20日
本棚登録日 : 2012年2月20日

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