男と女の理不尽な愉しみ (集英社新書)

著者 :
  • 集英社 (2017年11月17日発売)
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感想 : 43
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この本で、壇蜜姉さんがエンバーミングの仕事をしながら銀座ホステスをやっていたことを知りました。(出勤前に吉祥寺のマンガ喫茶でシャワーを浴びていたらしい)

LGBTの話題では、姉さんはこんな発言をしています。

「いろいろあると認めた先に自分はノーマルみたいな意識を持たざるを得ない時代になってしまいましたよね。その多様性を受け入れて寛容な態度をとることは誰にでもできるけど、じゃあ同性に迫られたときにどうするの、という話。そこで差別的にならずに振舞うのは、そう簡単なことではないと思います」(P97)

同性に迫られて、NOと拒否することがLGBTの否定にとられるかもと心配させられるのも、なんかおかしな事態です。

また、あとがきでは、この本のタイトルに絡めて、

「この世には男と女しかいない、一昔前まではごく普通に用いられた言葉だった。ところが今はどうだろう。もし私がそんな言葉を発しようものなら、たちまちネットニュースで「アイツ、こんなことを言った」と報道され、コメント欄では「心と体の性が不一致の人だっているんですよ」とか「セクシャルマイノリティを差別する発言だ」とか言われ、取り消しと謝罪を求められるだろう。(中略)これからもひとりが抱える問題は深く多くなり、不寛容なムードは濃厚になり、一時の過ちを暴かれれば挽回できなくなり、社会的に抹殺されるような世間になるだろう。規制と監視に震えながら、ミスした他人の傷口をよってたかって広げる世界・・」(P186)

芸能人であるがゆえに、仲間たちの失言や不倫に対する社会からの様々な仕打ちを目の当たりに見て、明日は我が身と身構えている様が伝わります。

本書で、林先生は基本的に対談のトピックス選定と聞き役に徹しているのですが、レストランでまずい料理を出されたときとか素性を誤魔化しているとわかっている占い師と対面するときなどに、「これは自分に与えられた課題だ」と自分の内なる声に鼓舞されて果敢にチャレンジするという話(P104)は面白かった。

次回あたりは、壇蜜姉さんとマツコとの辛口対談集を読んでみたいものです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2018年8月1日
読了日 : 2018年8月1日
本棚登録日 : 2018年8月1日

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