私の好きな作家さんですが、やはり初期のころと比べ丸くなったというかパワーが落ちたというべきか、本書は2003年に出版されたのですが・・
傑作である「絆」「それぞれの断崖」、名作である「灰の男」「二重裁判」を読んだ身からすれば、やはり物足りない。
以下ネタバレ注意!
要は、カッコウの托卵の人間版ですが、生後6か月の子供のころに見た五重塔が既視感をもって思い出せるのかというのはさておき、もしこの小説が第4章「風雪」(本書は7章あります)の種明かしで終わっていれば、まだ程よいミステリーとなっていたのにと残念です。結果的に、人情噺として誰も悪くない的な無難さを求めすべてを書き尽くしたために、想像という読者の楽しみを奪ってしまったような気がします。
本作で感動した読者であれば、ぜひ先の4冊を読んでみてほしいと思います。
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- 感想投稿日 : 2020年4月30日
- 読了日 : 2020年4月30日
- 本棚登録日 : 2020年4月30日
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