世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド

著者 :
  • 新潮社
4.18
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本棚登録 : 413
感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (618ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106006449

感想・レビュー・書評

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  •  図書館にある村上春樹さんの作品の中で、一番分厚かったのを、休み中に読もうとして借りたのですが、

     3連休で読んでしまいました。


     1,2年前かなぁ、「最近、村上春樹を読み始めた。」と、とある友だちに言ったところ、この本を勧めてくれた。…というか、この本が好きだと、言っていた気がする。


     その目線で感想を述べると、
     なんでこんな悲しいお話が好きなんだろう。という印象。

     ただ、今の私にドストライクの話でした。だから★5。

     とても、長いお話なので、おいおい思い出しつつレビューを書き連ねていこうと思います。

     こう、DVDだ、本だ、漫画だと800作品以上読んで、レビューを書いてきてみて、その時々の自分の心境と、それを取り巻く環境も含め考えたことを載せてきましたが、このくらい感想を書いてくると、本の中に、自分の考えたことと同じようなこと、似た表現が幾つも出てきます。

     わたしは、こういった小説を読む場合、男性作家が好きです。女性作家も、過去読んではいたのでしょうが、女性だと、共感できる部分が大きかったり、「そのように書いた作家自身」のことを思ってしまったりして、なんか、「安心するために読んでる本」として読んでいるようで、いつしか居心地が悪くなっていったためかと思われます。まぁ、そのようにしか感じられない人を選んでいる私がそもそもダメなんですけどね。

     わたしはそれで、人生の半分を「性別」で判断し、損をしているのかもしれません。でも、本を読むのならば、アホみたいに狭苦しい自分の価値観を、ぶち壊してくれるものに、出会いたいのではないかなぁと、自分の行動に対して思います。だから、「男性」の方がいいのかも、と。

     ただ、この人は、村上春樹さんは、なんか違う気がする。男性作家だけれど、よく、自分の考えに似たフレーズに、出会える。


     そういう作家さんだから、つまり、誰かしら、何かしら「共感」を出来るというような作家さんだから、評価されるのかもしれないし、ただ「人間的に」考え方の方向性が似ているだけなのかもしれない。

     この場合、これくらいの「共感」は、気持ちがいいね。この作品。好きだな。心の奥底が、とても悲しくなってしまうけれども。

    ※感想を、一つだけ。

     「飛ぶ矢はとどまっている。」

     似たようなこと、ではないかもしれないけど、私はたまに、「数直線」について考える。

     定規のほうが、単位としてわかりやすいかもしれない。

     例えば、0から1cmの間には、ハサミでは切り取れないような無限に続く数が潜んでいる。

     0.333333333333333333…cmも、0から1cmの間にある。
     でも、そういうのとはお構いなしに、私たちは0.5cmのリボンを切り取ることが出来る。(そんな長さのもの、使い道がないっていう意見はさておき。)その不思議さ。細かさに細かさを重ねれば、我々は、0.5に続く数をいくらでも続けることが出来る。
     「そのリボンの長さは、正確に言うと0.5034281943cmだね。」というように。

     でも、我々はいとも簡単に、リボンを切り取り、その数値の世界を終わらせることが出来るのだ。

     どんぶり勘定の世界で生きている、とも言えるし、奇跡の数値の中で生きている、とも言える(気がする)

     リボンを切り取ったり、均等に重さを測ったりすることで、我々は、世界を収束させることが出来る。

     0と1の間にあるおよその瞬間に閉じ込められることなく。

     ただ、「誰も求めない公正さ」のなかで、終わることのない瞬間の世界の中へ身を投じることができるとしたら、

     わたしはなにか、新しい展望をその中に、見据えることが出来るのかもしれないと思うと、

     世界の終りに、行ってみたい気もする。

  • 村上春樹との出会いは短大時代の本屋のアルバイトで。
    「風の音を聴け」から始まり、当時出版されていた作品を次々と水を飲み干すように読み続けた。
    文庫本で買うことがほとんどだったわたしがハードカバーに手を出したのも村上春樹を好きになったからだと思う。
    この「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」は村上作品の中での一番のお気に入り。箱に入っていて(函入り、というのね)、ピンク色の布張りの装丁もすばらしい。写真がないのが残念です。

    夢中になって読みふけった一冊。宝物といえる本。

  • コレ‼︎
    この表紙で箱に入って、二段組み。

    大切な本との想い出。

  • 2つの物語が交代で進行する。
    とても乾燥した世界。

  • 4.5

    読み始めは頭が混乱したし、彼の文章の書き方(比喩の多さ等・嫌いではないけど)に頭が疲れてしまってなかなか進まなかったけれど、2つのストーリーの関連性が見え始めるところから急に面白くなりました。


    最後は悲しい(という表現が正しいのかは分からないですが)し、その結論に納得しきれないところがありました。この本は私に何を教えてくれたのか?
    だからこそこの本についてしばらく考え続けるだろうし、いつかもう一度読むんだろうなと思います。

    彼の作品はまだそんなに読んでいないけれど、この作品でもまた主人公を初めとする登場人物が好きになりました。

    死とはシェーヴィング・クリームの缶を半分残していくことなのだ。


    まだ消化し切れていないところです。

  • 初版が出て大学の生協ですぐ買った。ずいぶん厚い本だったけど、結局その日は徹夜で全部読んだ。この本が僕は村上春樹の頂点だと思う。

    捨ててしまったがもったいないことをしたな・・・。

  • この本で表現されてる世界が好き。
    ストーリーも好き。

  • すっきりしない終わり方だが、徐々に明らかになっていく2つの物語の関係が面白い。

  • 再読!
    「やみくろ」「計算士」「記号士」「一角獣」…。キーワードだけでもわくわくする。30年前の作品なのに現在でも全く輝きを失っていない傑作。

    「世界の終り」と「ハードボイルド・ワンダーランド」の2つの物語が2重螺旋構造のように絡み合い、一つの物語に昇華していく。「生」と「死」、「意識」と「無意識」、「自我」という普遍的なテーマが根底にありながら、「ハードボイルド・ワンダーランド」の鮮やかなストーリーテリングと疾走感、「世界の終り」にある類まれな世界観で「読み物」としても読者を魅了し続ける。

  • (2014/3/20読了)

    (私が読んだのは、村上春樹全集作品に収録されている本でした)

    言わずもがな、「世界の終り」と「ハードボイルド・ワンダーランド」のふたつの物語が交互に進行して行く。
    それぞれの主人公が同じ人物。通常の時を刻んでいる私には、どちらが先でどちらが後なのかと考えてしまうけど、それはどちらでもなく、混沌としたカオスの世界。そんな中で、双方の主人公は、自分なりの答えを出し、近しい者は深くを聞かず受け入れて行く。
    ファンタジーで有りながら、近未来的な話。分厚い本だということもあるけど、読み応えのあった本でした。

    (内容)
    村上春樹、80年代の記念碑的長編。
    私の知らないうちに世界は始まり、世界は終わろうとしていた。そんな無茶な! 笑いと恐怖と思想、三重仕掛けで描かれた迷宮へ…。隠された秘密を巡って同時進行する「幻想世界」と「冒険活劇」の物語。

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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