道草ハヤテ (新潮文庫 よ 26-12)

著者 :
  • 新潮社 (2012年9月28日発売)
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感想 : 4
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前作「山彦ハヤテ」から暫く鳴りを潜めていたと思ったらいきなり続編は文庫で登場。書店で本書を目にした時も「なんだ旧作の文庫か」と新作とは思いもよらず、ついつい買いそびれるところであった。

自然児ハヤテが前作で命を救った折笠藩主・三代川正春の弟で、頭を丸めた僧侶・徳念と江戸から東北の折笠藩まで珍道中を繰り広げると云うのが本作。だが前作で見せた時代小説とは思えぬ自由闊達な物語の飛躍がそこには見られず、意に反して常識的な展開の物語に落ち着きつつあり物語の魅力は半減。ハヤテの山での友である狼・尾ナシも旅に加わるのだが、尾ナシの話が冗長であることが気になるし、一方で狐につままれる話も現実世界のパロディを意図しているとは思うがやや空振り気味だ。

折角、面白いキャラクターを生みだした「ハヤテ」ではあるが本作では今ひとつ吹っ切れていない印象で残念である。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 時代小説
感想投稿日 : 2012年10月29日
読了日 : 2012年10月29日
本棚登録日 : 2012年10月21日

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