ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業〔下〕(ハヤカワ・ノンフィクション文庫) (ハヤカワ文庫 NF 379)

  • 早川書房 (2012年2月9日発売)
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感想 : 43
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「犠牲になる命を選べるか」「徴兵制の是非」「同性婚について」など馴染みやすい命題で議論が展開されますが、理解するにはある程度、哲学用語の知識が必要だと思いました。

「格率」自分で自分に定めた行動の法則。信念とも言い換えることができる。
「道徳法則」人間界には従わなくては道徳法則があるとカントは考えた。道徳的な行いを善しとする理性は人間だけに先天的に備わっているからである。
「定言命法」道徳法則は目的を達成するための手段ではなく、目的そのものでなくてはならない。
例:人に親切にすることに目的はない。なぜなら親切にすること自体が目的だから。
自分の利益や要求、特別な状況がほかの人のそれよりも重要であるという理由で自分の行動を正当化するべきではないというのが定言命法の特徴であり要求である。

自死について:生命の権利はとても重要で、とても基本的なものなので不可譲であり、自分でも放棄することはできないという。私の命は私自身の所有物ではない。なぜなら、他の人々が私に頼っているかもしれないから。人生を生きるとは、自分の命を絶って単に自由に放棄することはできないという、他の人に対する責任を含むかもしれない。

人の尊厳を尊重するとことは、人を単なる道具とみなすのではなく、目的そのものとして考えることを意味する。だからこそ、他の人の福祉や幸せのために人を使うのは間違いである。

恵まれた者は、恵まれない者の状況を改善するという条件でのみ、その幸運から便益を得ることが許される。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 哲学
感想投稿日 : 2022年7月30日
読了日 : 2022年7月30日
本棚登録日 : 2022年7月30日

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