東南アジア史10講 (岩波新書 新赤版 1883)

著者 :
  • 岩波書店 (2021年6月22日発売)
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感想 : 15
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古い本なのかと思ったら、意外とコロナ禍の頃まできちんと改訂されていて驚いた。
日本人はどうしても東南アジアで一括りにしがちだが、インドシナ三国、タイ、ミャンマー、マレーシア、インドネシアで気候、国際関係、宗教など全く違う。それ故に高校世界史程度の予備知識がなければ読み進める事も厳しいのではないだろうか。
また東南アジアの通史を10講に分けた形だが、その内訳はここ5〜600年に7割を割く構成になっており、古代〜中世における東南アジア史の追いづらさをひしひしと感じる(絶対的な資料が少ないだろうし)。
この本で新たに得た知見としては、植民地期においても短い期間で植民地にされた訳ではない事だろうか、タイのアユタヤ王国などはヨーロッパ人が進出したのちも有力であったし、ベトナムに至っては19世紀後半に至るまで脅威をヨーロッパより中国に置いていた節すらある。またナショナリズムの起こり方も様々であり、決して日本が植民地解放を積極的に行なった訳ではない事は肝に銘じておきたい(ただ、きっかけを作った事は間違い無いが)
現代においても、東南アジア内での経済格差や政情格差はなお激しく、ASEANもEUと違い緩やかな連合体の為決して一枚岩ではない。日本はどのように対応していくべきだろうか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2024年5月1日
読了日 : 2024年5月1日
本棚登録日 : 2024年5月1日

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