セネカが周囲の人に当てた書簡集(すべて創作という見解もある)。「自然に従え」というストア派の哲学をベースに、セネカが悩める人へ人生の対処法を説いている。大切な人・ものを失うことへの恐怖とか、自分を信じきれなくて心が乱れることとか、人の悩みは2000年前も変わらない。セネカは具体的事例を交えながら文章を書くので、2000年後に生きる私が読んでも、心に刺さる。一番感銘を受けたのは「自分の心のうちにあるもの以外は、すべて借り物。依存せずすべてすぐにでも返す心構えをもって生きる」ということ。失う怖さを感じていたが、借り物であり、今この一時でも手にできたことが幸せだと思えるようになった(少しだけ)。著者の解説・解釈もセネカへの理解を手助けしてくれる。手元に置いて読み返したい。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年9月18日
- 読了日 : 2023年9月18日
- 本棚登録日 : 2023年4月16日
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