日本の歴史 本当は何がすごいのか

著者 :
  • 扶桑社 (2012年8月25日発売)
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本棚登録 : 90
感想 : 15
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この本は、明治以降だけの本にしても良かったかもしれない。

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
   平成24(2012)年9月1日(土曜日)弐
        通巻第3741号 
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(書評特集号)

日本史の疑問は、すべてこの一冊で氷解する、やさしい入門扁
  目から鱗が落ちる連続、日本の良さが何重にも感得できて自信が湧く本

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田中英道『日本の歴史 本当は何が凄いのか』(育鵬社)
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 仁徳天皇陵はピラミッドや秦の始皇帝陵よりも大きい。
 桁違いに大きな御陵は、世界一の国力をしめして余りある。そうだ、あの時代の日本は世界一の文明国家でもあった証明なのである。
東大寺の大仏開眼は、当時の万博だった。遣隋使・遣唐使より遣日使のほうが多かった上、かれらの大半は日本にそのまま居着いた等々、田中史学で目から幾つもの鱗を落としてきたが、本書はその集大成的入門教科書風な作り方がされている。
 日本はなにしろ凄いのである。
 その素晴らしさを戦後の日本人はGHQの史観に染められ、自ら蓋をしてきたのだ。
 人類史初の恋愛小説『源氏物語』、独自の美術を誇る日本を、本物の知識人は早くから評価した。欧米人がジャポニズムを発見し、写楽に驚嘆し、わびさび、もののあはれ等に感動した。
 トインビーもストロースもハンチントンも、日本は独自の文明と評価した。日本の歴史学界もマスコミも、その解釈を遠のけ、日本は「シナ文明の亜流」と自己規定してきた。
 田中氏は言う。
 モンゴルは当時の世界史を換えた。中央アジアから欧州にかけて、モンゴル軍は「連戦戦勝で、その力を恐れられていたのに、それを東方の日本が打ち破ったことは、たとえ暴風雨が味方をしたとはいえ、(中略)日本がこの機会に世界史の中に堂々と登場した」のであり、「その戦力はすでに世界有数のものであったことが実証された」という見方を展開される。
NHKの大河ドラマ『北条時宗』では、世界秩序に刃向かう執権を井の中の蛙のように見る副主人公の台詞が挿入されていた。旅先で偶然みていた評者(宮崎)は唖然とした。
 そのノリで秀吉の朝鮮半島進出が「侵略」と解釈されるようになった。この解釈もおそらくは戦後のGHQと日教組と朝日新聞の仕業ではないか?
 真相をいえば、秀吉の朝鮮進出はイスパニアの野望をくじく「予防的先制攻撃」(プリエンプティブ)だったが、戦後の歴史家は「シンリャク」一点張りの魔何不思議な解釈をひろげて、その無知をいまも晒している。
 田中英道・東北大名誉教授は、次のようにまとめる。
 「秀吉が海外進出を試みたことを、無謀な侵略行動であったという説があります。しかしそれは、この時代の日本を西洋からの侵略の危機から回避させるものであったという見方も出来るのです。すでにフィリピンは1521年にマゼランの来航以来、スペインの支配下に入り、フェリペ二世の名を取った植民地国として占領されているという情報は、日本にも入っていました。秀吉は、このフィリピンや台湾に対して服属を求める手紙を出していたのです。日本が立ち上がらなければ、東洋の隣国はすべて(キリスト武装軍団に)占領されてしまうと考えたからです」
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読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2012年9月1日
読了日 : 2012年11月13日
本棚登録日 : 2012年9月1日

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