プロの資料作成力

著者 :
  • 東洋経済新報社 (2012年5月25日発売)
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ドキュメンテーション(書類作成)に関する具体的なテクニックが知りたくて手に取った本。

▼2種類の「わかる」
「わかる」には「意味がわかる」と「意義がわかる」の2種類がある。ドキュメント作成の際には、この2つの「わかる」が伴っていないといけない。「意味はわかるけど、それでどうするの?」のようなケースは、両方が伴っていないパターン。

▼わかりやすい資料とは何か
・情報量と内容が適切である
・伝える相手の状況、シチュエーションを意識した内容である

▼プロフェッショナルな資料の3要素
1. 期待値を理解している
 相手に「私が欲しい情報はこれではない」と言われない内容であること
2. 達成基準が高い
 資料のクオリティが高いことに加え、作成スピードが早いこと
3. 安心、満足、感動を与える
 ビジネスの資料は、そもそも相手に何らかのアクションを求めるもの。
 それだったら動いてみよう!と、琴線に触れる力があること

▼資料の目的を明確にする
目的の見えない資料では、人は動かせない。また目的は、一言で言える内容であること。
・相手にどんな行動をとってもらいたいのか
・そのために何を理解してもらいたいのか
・そのためにどのような状態にするべきか

▼意思決定に働く「6つの心理」
相手の判断基準を変える必要がある場合、この6つの心理の視点から攻めどころを考えると効果的。
・返報性(何かしてもらったらお返ししなくては)
・一貫性(あなたの目的と合致してますよ)
・社会的証明(世の中みんなこうしてますよ)
・好意(好きな人の要求に答えようとする心理)
・権威(専門家もこう言ってますよ)
・希少性(今だけ!最後の一つ!あなただけ!)

▼ターゲットを知り、仮説を立てる
・メインターゲットとサブターゲットの設定。2:2:6の法則。
・経歴の軸と業務内容の軸でターゲットの人物像を明らかにする。
・期待値(優先順位と判断基準)

▼メッセージの要件
・ロジックエラーがない。
・5回以上の「なぜ?」に耐えうる。
・感情に染み入ること。
・感情を前面に出さない。

▼構成の応用
・フルバージョン(数十枚程度)
 関心を持った相手にじっくりと理解してもらうためのもの。
・エグゼクティブバージョン(1枚〜数枚)
 忙しいエグゼクティブ向けに最も伝えたいポイントを短くまとめたもの。

▼わかりにくい資料の原因
・情報の質が悪い
・情報の量が多い
・情報の加工がで季節でない
・効果が効果的でない

▼Googleのデザインガイドライン10か条
・役に立っているか?
・速いか?
・シンプルか?
・魅力的か?
・革新的か?
・ユニバーサルか?
・利益が出るか?
・美しいか?
・信頼できるか?
・親しみがあるか?

▼その他
・期待を把握した上で、良い意味で裏切る。相手がまだ言語化することができない潜在的な
期待を推し量ること。
・相手の使用言語に合わせる。
・資料作成は、まずは手書き。手書きは体裁にとらわれず、本質的なメッセージしか書けない。


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まとめ
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資料作成の際の考え方、具体的な手順、テクニックなどがとてもわかりやすくまとめられていた。全体で説明している「資料作成」を「料理」に置き換えているところが、資料作成初心者にもわかりやすいよう配慮されている。また、実際に資料作成をはじめた社会人の例も挙げられていて頭に入りやすい。資料作成前に読めば手順がよくわかり、作成後に読めば、自分の資料のどこが伝わらなかったのか、どこが良くてどこがだめだったのかを分析するためのヒントが沢山詰まっています。資料作成の際には手元に置いておきたい一冊。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年10月7日
読了日 : -
本棚登録日 : 2012年8月17日

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