昨年から読みたかった一冊は直木賞と山本周五郎賞W受賞の超大作である本書。
いやぁ〜読み応えありました。
麻薬密売に臓器売買という闇、アジアから南米そして日本に跨がるスケール感に神や生贄、スプラッター作品かのごとく描かれる殺害シーン...
普段見聞ききしない固有名詞乱発でカタカナが多く、登場人物も多い為に普段の私なら少しとっつきにくい作品に位置付けられる可能性のある作品でしたが、中弛みすることなく最初からグイグイ引き込まれていきました。
舞台が日本に移り、川崎近隣の地名に今は馴染みがあるのも一つの要素かも知れませんが、石井光太さんのルポ作品で陽の当たらない闇の世界を過去に読んでいたことも本作に引き込まれた要因だったと思います。
いろんなものを詰め込みまくった作品ですが、それを一つのストーリーにまとめあげた見事な作品でした。
説明
内容紹介
第165回直木賞受賞!
鬼才・佐藤究が放つ、クライムノベルの新究極、世界文学の新次元!
メキシコのカルテルに君臨した麻薬密売人のバルミロ・カサソラは、対立組織との抗争の果てにメキシコから逃走し、潜伏先のジャカルタで日本人の臓器ブローカーと出会った。二人は新たな臓器ビジネスを実現させるため日本へと向かう。川崎に生まれ育った天涯孤独の少年・土方コシモはバルミロと出会い、その才能を見出され、知らぬ間に彼らの犯罪に巻きこまれていく――。海を越えて交錯する運命の背後に、滅亡した王国〈アステカ〉の恐るべき神の影がちらつく。人間は暴力から逃れられるのか。心臓密売人の恐怖がやってくる。誰も見たことのない、圧倒的な悪夢と祝祭が、幕を開ける。第34回山本周五郎賞受賞。
著者について
●佐藤 究:1977年福岡県生まれ。2004年に佐藤憲胤名義で書いた『サージウスの死神』が第47回群像新人文学賞優秀作となりデビュー。’16年『QJKJQ』で第62回江戸川乱歩賞を受賞。’18年、受賞第一作の『Ank:a mirroring ape』で第20回大藪春彦賞および第39回吉川英治文学新人賞のダブル受賞を果たす。
- 感想投稿日 : 2022年1月22日
- 読了日 : 2022年1月22日
- 本棚登録日 : 2022年1月3日
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