前回の「まんがパレスチナ問題」から10年経過した2015年現在の状況です。ここからさらにトランプ大統領の登場で乱世に突入していますので、この本よりもさらに混迷している世界情勢であります。
しかしこの本は、小手先の事を書いておらず過去から現在に掛けてのアラブと世界の関係性を簡潔に書いているので、前作と一緒に読むとこの何千年かのパレスチナの状況が分かるとても素晴らしい本です。
澄ました顔で色々介入したり口を挟んだりする欧米諸国が、どれだけこの地域を食い荒らしてきたかよく分かります。中東の問題の本を1冊でも読めば欧米の酷さが分かるのですが、意識して情報を取り入れないと、野蛮で寛容さの無いアラブ諸国、テロを国家ぐるみで推奨する恐ろしい地域。そんな風に思っている人達が多いのではないでしょうか。
自分達の地域を護ろうとすることは自然な事ですよね。もし日本を勝手にアメリカとイギリスが山分けにしようとしたら絶対に赦せない事です。それをアラブの地域に対して行ってきたのです。どれだけ上から目線だったんだという話です。
それにより自分たちの場所であると主張する民族が乱立する事となりました。しかも民族だけではなく宗教上の対立もあるので、お互いに譲る事が出来ないわけです。
この本が出た背景には2014年にガザ地区へ行われた大規模な空爆が有ったのだと思います。この人道主義が表面上大事になっている現代で、イスラエルが行った空爆で2000人が無くなりました。当然医療機関も殆ど破壊されました。
世界一の人口密集地、しかも市民に向けての空爆。これはがさほど大きな話題にならなかったのは、明らかにイスラエルへの配慮だったのだと思います。
知らないうちに沢山の人が殺され、それに関与した人たちは何も処罰もない。これはどう考えてもおかしいし現代の話とは到底思えません。
しかし、石油が出るか、経済的な影響力が大きくないと命も軽くなるってことなんでしょう。これから不穏なまま進んで行くであろう世界情勢本当に不安です。
- 感想投稿日 : 2019年9月20日
- 読了日 : 2019年9月16日
- 本棚登録日 : 2019年9月16日
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