屋上のウインドノーツ

著者 :
  • 文藝春秋 (2015年6月26日発売)
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本棚登録 : 495
感想 : 98
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内容(「BOOK」データベースより)
友達がひとりもいない県立高校へ入学した引っ込み思案の少女・給前志音は、ワケありの部長・日向寺大志に誘われ吹奏楽部に入部する―やがて厳しい練習の日々が始まって…目指すは東日本大会出場!音楽と友情の疾風怒涛。第22回松本清張賞受賞。

青春期に全く青春していなかった悲しみの高校生でしたが、本やドラマの青春ものは大好き。満たされなかった青春の思い出を改ざんしたいからでしょうか。田舎の高校生で青い空白い雲、吹奏楽の鳴り響く音とカルピスソーダ。うーん甘酸っぱいですなあ。
この本の良い所は、青春小説につきものの初恋の切なさみたいなものはほんのりと香る程度で、ほぼ思い悩み、傷つきながら自分の居場所と進むべき道を切り開く高校生たちの足掻きの物語であることです。
大仰な展開は無く、とてもオーソドックスであるといえます。でも地味ではないのがとても不思議。青春ものって口当たりはいいけれどしばらくすると話の筋が思い出せなくなりそうな事が多いですが、2人の主人公の両方の観点から交互に書く事によって物語と人間関係が立体的にに感じられるため、頭に話の筋が明確に残っています。
思えば娘も吹奏楽でサックスをやっていて、大変そうだったけれど楽しかったようですね。強い学校だったんですが残念ながらいい成績を残せなかったようで、たいそう悔しがっておりました。楽器が出来るといいですよね、音で会話というか心の交流が出来ますから。
それにしても引っ込み思案のドラマー志音ちゃんの成長っぷりが頼もしかった。友達と目標に恵まれると誰でも輝く青春を送れるんじゃないかとこの年になると思います。結果よりも頑張ったという過程が大事ですよね。昔はきれい事言いやがってと思っていましたが、結局それが真実だと今は分かる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2018年3月27日
読了日 : 2018年3月26日
本棚登録日 : 2018年3月26日

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