その島のひとたちは、ひとの話をきかない――精神科医、「自殺希少地域」を行く――

  • 青土社 (2016年6月24日発売)
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自殺率の低い地域「自殺希少地域」には心地よく生きる知恵があるのではないか。そう考えた精神科医が現地の雰囲気を肌で感じてきたリポートです。
あくまで外から見た環境なので、根拠があるわけではないのですが、オープンに人の役に立つことを喜べる地域に居る事は、精神衛生上とてもいいと思います。人と関わる事が辛い人にはちょっと受け入れがたいかもしれないけれど、自分ひとりならそういう村にいるのもいいかなあと思いました。
先日読んだ「つけびの村」も田舎の集落ですが、何が違うんだろうと思って読みました。うわさ話が好きだったり、悪口だって言ったりする。それは共通しているのに何がちがうのか。
この本を読むと、人への関わりがあまり濃密ではないけれど、誰にでも親切にする事が基本になっている場所なのかなという気がします。ゆるやかな共同体というんでしょうか。
僕的に思っているのは自殺の原因には孤独以上に「世間の目」というものが作用しているような気がしています。
世間という概念を改めて突き詰めると、仮想された不特定の人々なんですよね。はっきり面と向かって何か言われない限り無効だと割り切れれば、とっても生きるの楽になると思うのですが、こういう事を考えている事自体そうなれない証拠でもあるんですが・・・。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年9月1日
読了日 : 2020年8月21日
本棚登録日 : 2020年8月21日

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