政治の世界で激しい浮き沈みを経験してきた筆者が初めての師匠である中川をはじめ、田中角栄、福田赳夫、安倍晋太郎、金丸信から、小沢一郎、野中広務、田中真紀子、小泉純一郎、プーチンまで、すべてを語りつくす。
本書は裸一貫で上京し、拓殖大学在学中に政治家・中川一郎元農林大臣の秘書となり、その後、実に40年間の長きにわたって永田町で戦い、その裏も表も知り尽くした一政治家の回想録です。自らをして「地獄を見た」と言わしめるほどの数々の修羅場を潜り抜け、自身も大事業家として潜り抜けなければならない経験としてあげられる「浪人」・「大病」・「懲役」を経て記されているので、やはり、言葉の重みが違います。
ここにこめられているものは田中角栄、中川一郎、金丸信から小沢一郎、さらには小泉純一郎、果ては外国の国家元首以外で初めて会見することができたといわれるプーチン氏にいたるまで、政治の世界が以下に魑魅魍魎の権力争いであるということを教えてくれる一冊です。筆者自身が権力の中枢にいただけあってその「奥の院」でいったいどのような決断がなされていたのか?
「今だから明かすことのできるエピソード」
と本人がおっしゃるように、読みながら手に汗をにじませておりました。
しかし、世に言う『宗男バッシング』が行われていた際、それまで外務省について筆者が知りえたことは文字通り、『墓場まで持っていく』のでしょう。そういった記述がほとんどなかったので、そんなことも感じました。最後のほうにある筆者が獄中で感じたことのひとつに『今の日本には“政治”というものがない』と『「俺が、俺がのガ」ばかりで「おかげ、おかげのゲ」がないのだ』という指摘は本当に重いものであると最近つくづく実感しております。
- 感想投稿日 : 2013年5月16日
- 読了日 : 2013年5月16日
- 本棚登録日 : 2013年1月28日
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