銀のアンカー 1 (ジャンプコミックス デラックス)

  • 集英社 (2007年3月23日発売)
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本棚登録 : 291
感想 : 36

全巻の感想

4巻まではいいのだが、5巻から完全に作画崩壊し、学生の主要人物であるところの田中が宇宙人化(外見)幼稚化(内面)、これだけにとどまらず、全キャラの無表情化によって、ただの漫画の体をなしたおっさんの保守崇拝主張漫画になりさがる。4巻までがよかっただけに残念。5巻からの作画は本当に見るに耐えない。作画だけでなく内容も陳腐に。ただ言いたいことを言うだけで漫画であることを生かせていない。4巻までは就活漫画の金字塔。5巻からはクソ。

4巻まで田中のキャラクターは現在の就活生のダメな部分をうまく具現化できており、取材の努力が垣間見れる。しかし、5巻から突然の幼稚化によって、4巻まで気づきあげた田中のキャラクターが全てパーに。もう一人に女学生の主要キャラ千夏も無表情になり、感情的になるべき場面でも顔を覆って泣くだけ、それ以外は全て同じ表情で怖い。そもそも絵が変。そして主要キャラ以外の人間を書くときにアシスタントを使っているため、絵柄が全く違うので奇妙。漫画の中に違う漫画のキャラクター(マガジンやジャンプのような)キャラクターが混じってくる。その点も本当に気持ち悪かった。4巻までは良かったのに。そして5巻意向白川の作画だけはそこまで変わっていないというのも奇妙な点の一つだ。そもそも無表情なキャラクターだからだろうが。

なんだかんだ言って大企業、生涯収入の格差、キャリアアップの嘘などなど納得出来る部分はいくつもある。やりたいことのない学生は給料を基準に選択しろ。これもわかる。迷う前にまず行動。ごもっとも。それで?じゃあ中小企業で働いてる人の人生はクソだと?人生就活で失敗したら負けなのか?子供の頃から自分のやりたい事を決めてその職について働いてる人は絶対幸せなのか?
この漫画はそもそも大企業に就職すること、地方なら公務員になること、これが絶対一番幸せなことであるという答えがすでにあり、その答えに結びつけるための理由を後付で加えている感がある。つまりかなり文系的な考えで構成された漫画である。ひとつの意見としてはいいけど、この漫画の主要キャラであるところの田中くんみたいに何でもすぐに信じてしまう人は、大企業に入れなかった時点で僕の人生終了さよなら、なんてなってしまわないか心配だ。

そしてこの漫画のもう一つの気持ち悪い点は堀江貴文をモチーフにしたキャラクターを登場させ、ベンチャーなんかクソ、起業なんて考えるなということを暗に示している点である。漫画の中の堀江はスーツを着こみ、主人公白川の推薦で大財閥のトップに推薦される。これは明らかに気持ち悪い。堀江貴文という人物を少しでも知っている人ならこんなことはありえないとわかる。実在する人物を使って自分の好き放題なことを言わせるなんて頭がオカシイとしか思えない。つまらない同人誌よりつまらない

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年8月2日
本棚登録日 : 2013年7月30日

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