異文化のなかで、気が付けば一人ぼっちになってしまった男女が、孤独の引力に導かれて接近し、また自分たちのあるべき場所へと帰ってゆく様子が描かれている。
言語、性別、年齢、仕事…考えてみれば、いろいろなところで僕らはすれ違い、その隙間を埋めようとして、でもやっぱり必ずすれ違ってしまう。相手の口にすることや態度をうまく自分なりに翻訳して理解しようとするけれども、その途中で必ず、伝わりきらない何かが失われてしまう。ソフィア・コッポラはそうした意味での“lost in translation”を東京という街を通して巧みに具現化している。
“トーキョー”はそんな孤独を許してくれる街のような気もする。
ビル・マーレイとスカーレット・ヨハンソンの言葉少ない演技も深く、魅力的である。
雑踏の中に紛れて交錯する無数の物語があの街にはある。その彷徨のなかにこの物語もきっと溶けている。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
映画
- 感想投稿日 : 2013年2月12日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2013年2月12日
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