「縮小均衡」とは魅力的な響きをもつ言葉で、みんなが本気でこれを受け入れたら、現代の様々な社会問題はほとんど解決してしまう。実際、一人ひとりが人間としての認知や行動の限界(本書では「ヒューマンスケール」と呼んでいる)をわきまえ、カネと科学技術の力を借りてそれを大きく超えるようなことをしなくなれば、色々な局面でもっと「楽」に過ごせることが確信できるんだよね。ところがみんなヒューマンスケールを軽々と越えて、(一見)楽しそうだったり贅沢をしたり充実している素振りを見せつけるものだから、ヒューマンスケールでつつましく生きている僅かな人も煩悩を刺激されて嫉妬で苦しむことになってしまう。今の世の中で、ヒューマンスケールに徹して生きるには相当な勇気と覚悟が必要だし、その生活に耐えるのも並大抵のことではない。やはり人生はいつの時代も四苦八苦なのか。
【川崎市立宮前図書館 332.1】
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
社会科学・人類学
- 感想投稿日 : 2015年11月7日
- 読了日 : 2015年11月7日
- 本棚登録日 : 2015年11月7日
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