先に想像があって、それを文章化したような印象を受けた。倫敦塔自体の描写よりも、倫敦塔を訪れた際に浮かんだ空想の文章化に重きを置いてある。昔のことすぎて、「判然たる景色がどうしても眼の前にあらわれにくい」という事情もあったようだ。また、挿入される空想話における会話文を古文で表現している点も興味深い。地の文は現代の仮名遣いである。漱石のいる時点から過去への縦の時間軸を形成している。最後に著者自ら『倫敦塔』の解説をしており、著者の創作方法の一端が垣間見えて面白い。
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- 感想投稿日 : 2015年10月26日
- 読了日 : 2015年10月26日
- 本棚登録日 : 2015年10月26日
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