読み進めるうち、
昔の日本人は、なんて可愛くて、愉しくて、素敵なんだろうと思うと同時に、
自分がその時代の日本人でないことが、とても残念で切なく思えてくる本です。
この本は、文明開化の頃に来日した外国人の言葉を、好悪の区別なく集めたものです。
作中で作者は、昔の日本人を妖精のようだと言いますが、好奇心旺盛で、前向きで忘れっぽく、情け深くておせっかい(笑)、本当に真夏の夜の夢の妖精達を思い出し、こんな時代に生まれてみたかったと、妖精の国の子孫として溜め息ついてしまう良作です。
こうした本は、作者が読ませたい方向に誘導するものが非常に多いのですが、この本は、その誘導しようという所が少なく、とても気持ちが良い本に仕上がっています。
一度廃版になった時はショックでしたが、同じ思いの方が多かったようで再販。
版を重ねています。
この作者の方の別作品では、この作品よりも読者を誘導する傾向がありましたので、これは編集者との素晴らしいバランスで仕上げられたものだと感じます。
ぜひ一読されてみてください。
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- 感想投稿日 : 2015年4月21日
- 本棚登録日 : 2015年4月16日
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