ただひたすらに読み進めるのがつらい本だった。私がこの本で語られるキム・ジヨンと同じ女であり、作中の彼女の年代と近しいこともあってか、彼女の生きる世界を読むのがとにかくつらくてきつい。何がきついって、悲しいことに「ああそうだよな、女ってこんなことばかりだよな」とフラッシュバックに近い共感を毎ページ読むたび嫌でも経験するはめになることだ。せめて彼女が友人たちと手を取り合って何かしら報われるとか、未来に光が見えるような終わりだったなら救いがあってよかったかもしれないけれど、それもないのが悲しい。
自分にあったこと、周りの女性たちにあったこと、親や祖父母にあったこと。出口を求めて真面目に一生懸命やっていたはずなのに、出口なんてはじめからなかったんだと気づくときの絶望感。それは差別だ、不公平だと叫べどまるで言語が通じないかのように分かり合えない怒り。ライフステージを進めるごとに、古い世代の人たちの残した悪しき文化や無意識の差別に触れる機会も増えてくる。そのたび感じるやるせなさを凝縮したような本だった。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年8月19日
- 読了日 : 2023年8月19日
- 本棚登録日 : 2023年8月19日
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