その日、朱音は空を飛んだ (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎 (2021年4月8日発売)
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高校生たちが窮屈な世界で必死に生きる描写がお見事! 自殺したクラスメイトをめぐる青春ミステリー。

クラスメイトの飛び降り自殺をきっかけに、生徒たちの独白を綴りながら物語は進んでいく。少しずつ自殺の真相が見えていき、最後には衝撃的で、なんとも合理的な結論が…

もちろんフィクションなのでしょうが、いま発生している若者たちの自殺にありそうなお話です。
自分も現在、高校生とつながる仕事をしておりますが、彼らの世界や思いに完全に答えてあげられることはとても困難です。ただ笑顔になる手伝いができるのであれば、できる限りしてあげたい。でも、あんたに言われたくない「だから、何?」という感じなんですよね。
大人たちの中途半端な正義感や偽善を鋭利に貫く、心苦しい作品です。

ストーリーはクラスメイトたちの独白で進められます。正直序盤、中盤は話が展開せず、淡々と青春ものを読まされている感じがしましたが、終盤にかけては不気味な真相が見え隠れしはじめ、物語に没頭してしまいました。

若者でなく大人ほど読んだ方がよい作品だと思いました。おすすめです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー
感想投稿日 : 2022年1月11日
読了日 : 2022年1月10日
本棚登録日 : 2022年1月10日

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