コンニャク屋漂流記 (文春文庫 ほ 11-5)

著者 :
  • 文藝春秋 (2014年3月7日発売)
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千葉に白浜、勝浦の地名があって、紀州から房総へ流れてきた移住民が名付けたがゆえに、同じ地名があることは知ってはいた。しかし、漂流者がたどり着いたのかと思ってたら、そうではなかった。この本で初めて事実を知って、長年の疑問が氷解してありがたかった。。
時は17世紀ごろ、泉州、紀州、あたりは漁法先進地でかつ漁場は飽和状態で、房総へ季節出漁することが常態化していたという。中世末期から近世初めにかけて、魚肥が本格的に使用されるようになり、その原料となる鰯を追って紀州の漁師は西へ東へと出漁していたのだ。当時、一単位が網元が漁師20-40人を引き連れて、それが複数の網が一団となって移動する、という組織的なもの。 で、そのうち定住するものも出てきたのだ。

和歌山出身者としては、加太や湯浅、広川町を著者が歩いてルーツ探しをするところが興味深い。そして、著者の先祖が故郷をあとにしたのは「貧しさ」以外の理由を見つけにくいと肌感覚で腑に落ちるあたりがもの哀しい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年2月3日
読了日 : 2024年2月3日
本棚登録日 : 2024年1月24日

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