クビライの挑戦 モンゴルによる世界史の大転回 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社 (2010年8月10日発売)
3.73
  • (6)
  • (20)
  • (7)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 188
感想 : 14

222
[通商帝国・大モンゴルが世界史の流れを変えた。本当に「野蛮な破壊者」だったのか? 西欧中心・中華中心の歴史観を覆す。13世紀初頭に忽然と現れた遊牧国家モンゴルは、ユーラシアの東西をたちまち統合し、世界史に画期をもたらした。チンギス・カンの孫、クビライが構想した世界国家と経済のシステムとは。「元寇」や「タタルのくびき」など「野蛮な破壊者」というイメージを覆し、西欧中心・中華中心の歴史観を超える新たな世界史像を描く。サントリー学芸賞受賞作。(講談社学術文庫)]

「著者は、京都大学でモンゴル研究に取り組み、従来の定説を次々とくつがえす刺激的な議論を展開する気鋭の学者です。世界史の教科書に必ず載っている事項について、オゴタイ・ハンは存在しなかった、マルコ・ポーロは実在したか疑わしい、等新説を発表している。ー思い込みと伝説に彩られたモンゴル帝国の歴史を、新しい視点でズバズバと斬っていく杉山説は、読んでいるだけで楽しく、次から次へと新しい発見があります。みなさんもぜひそんな快感を味わってみてください。杉山さんの他の本もおすすめの力作。」(『世界史読書案内』津野田興一著 の紹介より)

第一部 あらたな世界史像をもとめて
 1 モンゴルとその時代
  モンゴルの出現/目に見えるユーラシア世界/モンゴル時代のイメージ
 2 モンゴルは中国文明の破壊者か
  奇妙な読みかえ/杭州入城の実態/政治ぬきの繁栄
 3 中央アジア・イランは破壊されたか
  チンギス・カンの西征と「破壊」/中央アジアでの「大虐殺」/中央アジアは駄目になっていない
 4 ロシアの不幸は本当か
  「タタルのくびき」/アレクサンドル・ネフスキーの評価/ロシア帝国への道
 5 元代中国は悲惨だったか
  抑圧・搾取・人種差別はあったか/科挙と能力主義のはざま/元曲が語るもの
 6 非難と称賛
  文明という名の偏見/極端な美化という反動
 7 世界史とモンゴル時代
  ふたしかなシステム論/世界史への視角
第二部 世界史の大転回
 1 世界史を変えた年
  アイン・ジャールートの戦い/戦いのあと/ふたつのモンゴル・ウルスの対立/モンケの急死
 2 クビライ幕府
  クビライの課題/混沌たる東方/なぜ金蓮川なのか/あるイメージ
 3 クビライとブレインたち
  モンゴル左翼集団/謎のクビライ像/政策集団と実務スタッフ/対中国戦略
 4 奪権のプロセス
  鄂州の役/クビライの乱/世界史の大転回
第三部 クビライの軍事・通商帝国
 1 大建設の時代
  なにを国家理念の範とするか/第二の創業/「首都圏」の出現/大いなる都/海とつながれた都/運河と海運、そして陸運
 2 システムとしての戦争
  おどろくべき襄陽包囲作戦/南宋作戦のむつかしさ/戦争を管理する思想/モンゴル水軍の出現/新兵器マンジャニーク/驚異のドミノくずし現象/中国統合
 3 海上帝国への飛躍
  南宋の遺産/世界史上最初の航洋大艦隊/海洋と内陸の接合
 4 重商主義と自由経済
  クビライ政権の経営戦略/国家収入は商業利潤から/銀はめぐる/ユーラシアをつらぬく重量単位/紙幣は万能だったか/「高額紙幣」は塩引/ユーラシア世界通商圏
 5 なぜ未完におわったか
  モンゴル・システム/早すぎた時代/記憶としてのシステム/ふりかえるべき時
あとがき
学術文庫版あとがき

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 2類 歴史 伝記 地理
感想投稿日 : 2023年8月16日
本棚登録日 : 2023年8月16日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする