「引っ越してきた少年の野球ミットが紛失した。マガークとウィリー、ジョーイ、ワンダの4人は「少年探偵団」を結成して、犯人を追いつめる!」
今までずっと忘れていたのに、本の名前が頭に浮かんだとたん興奮してしまうなんて、きっと小学生の僕は、このシリーズがお気に入りだったんだと思います。
特に僕が大好きだったのは、彼らが一人ずつ、IDカードという身分証明書を持っているところです。自分たちの手作りで、写真を貼ったり、指紋を押したりし、年齢や身長を記してあるカードで、これを読んだ僕が、もういても立ってもいられなくなり、仲のよい友人たちと同じような身分証明書を作ったのは言うまでもありません。特別に派手なことは起きないのに、身近な範囲ながらも冒険をするマガークたちがうらやましくて仕方がありませんでした。僕が書く小説の大半が、日常的な、一般人が巻き込まれる冒険であるのは、この辺が影響しているのかもしれません。
(『3652』伊坂幸太郎エッセイ集 2003年筆 p.83より)
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カテゴリ:
児童書 小学校中学年
- 感想投稿日 : 2023年5月10日
- 本棚登録日 : 2023年5月10日
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