下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち

著者 :
  • 講談社 (2007年1月31日発売)
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本棚登録 : 1239
感想 : 215

 この本が出版されたのは2007年、私が大学4年生だったころ。「微分・積分って何の役に立つん?」などと言いまくっていた私にとって耳の痛い話でした。消費主体として自己を確立した私たちの世代は、確かに学び=苦行であり、学校の先生をジャッジする側にあると思っていました。それはサービスを受ける側として当然の主張だと、信じて疑うこともなく。
 学びを放棄したツケは今の私に降りかかっていると考えれば、この本の論理は非常に納得できるものです。私が無用だと自己決定したことに対する保証は、現在の私が負っている。自分は変化することを勘定に入れていなかったのは完全なる私の落ち度です(当時の私にお告げに行きたい気分!)。会社を辞めると〝自己決定”したあの時も同じ。私には無時間モデルが通底しているのだなぁと思わされます。
 出版から15年ほど経った今は、当時に比べてより悪い状況にあると考えざるを得ません。今私ができることは、これから将来のために学ぶこと。そして、わが子に労働への参与を促すことなのかな。マネー教育もしっかりせねばと思っていたけれど、この世の尺度=お金とならないようにしなければなと強く思わされました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年3月24日
読了日 : 2022年3月22日
本棚登録日 : 2022年3月22日

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