ドラゴン・ティアーズ──龍涙

著者 :
  • 文藝春秋 (2009年8月7日発売)
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「キャッチャー・オン・ザ・目白通り」…メディアで人気のエステティシャン・ブラッド宮元はキャッチセールスで高額な化粧品を売りつける詐欺師。被害者の会の女性たちからの依頼でマコトはブラッド宮元の会社の実態を突き止め、化けの皮を剥がすことに。マコトとタカシがキャッチになって潜入する。リバーとコリン。良いコンビ。久しぶりにラジオ登場。なんかこういうのがIWGPっぽい。ブラッド宮元の裏の顔を盗撮し、動画サイトで投下。さっくり終わるけどすごく池袋っぽい夏の爽やかなお話。
「家なき者のパレード」…季節は秋。マコトがホームレス襲撃事件を追うお話。タカシからの紹介で支援組織ボランティア代表のヨウスケと知り合う。ホームレスが連続して何者かに襲われている。でもマコトが話を聞こうとしても誰も口を割らない。それどころか余計な被害も出てしまう。やっと事件の真相に近づいたマコトは手帳を使った失業保険詐欺を仕組んだ建設会社へのデモ行進を決行。家なき者たちのパレードが始まる。そこからはとんとん拍子。Gボーイズたちの協力もあって脅しに成功。最後、マコトと腕を折られたガンさんが一緒にフルーツ食べてるところ好きだなあ。そういうことするから、マコトが好き。
「出会い系サンタクロース」…母親がパチスロにはまって作った借金返済のために出会い部屋で働くアヤとそんなアヤに惚れた彼女いない歴28年太っちょサラリーマンのヒデト。借金のカタに援助交際を強要する店。そこからアヤを助けるためにマコトとヒデトが話をつけにいく。サルの協力もあって交渉(脅し)成功。ヒデトとアヤがなんか純愛っぽくて可愛い。ほっこりする12月のお話。
「ドラゴン・ティアーズ―龍涙」…茨城の工場で研修生として働いていた中国人少女クーが逃亡し池袋にいるという。研修生全員の国外退去を避けるべくクーを探しに来たアドバイザーのリン。日本の工場で働く外国人労働者の実態、安すぎる給料、日本人がやりたがらない仕事。何だかいろいろ考えさせられるお話だった。私たちがいま、安くていいものを手に入れらるのは、そういう実態があってこそなのかと。なんだかなあ。父の手術費用を早く稼がなければいけないクーは池袋のクラブで働いていた。でもそれは不法就労。事情を知ったマコトは揺れる。マコトのお母さんのなんとも潔い決断で、クーは真島家の養子になって日本国籍を取ることに。リンは何か裏があるかと思ったけど、心の優しいイケメンアドバイザーだった。マコトに妹ができた。なんだかビックリしたけど、春のとても優しさに溢れたお話。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 石田衣良
感想投稿日 : 2016年6月10日
読了日 : 2016年8月6日
本棚登録日 : 2016年6月10日

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