若くして老人のような白髪の主人公と、不思議で大きな傷痕のある主人公の妻。他人からよく訳を聞かれるが、話してもなかなか信じてもらえない。また、長い話なのでいっそ本にしてしまおう――そんな触れ込みで始まる「孤島の鬼」
ある宿で起きた、被害者も容疑者も消え失せてしまった不思議な殺人事件の真相を語る「湖畔亭事件」
この2つのお話が収録されたのが本書である。
すごいよ乱歩!と素直に喝采を送りたいミステリ作品。
「孤島の鬼」、前半はいかにもミステリらしく殺人事件の謎解きが中心だが、後半は頭脳だけでなく肉体も駆使し、さしずめちょっとした冒険モノになっていて、わくわくどきどきしっぱなしだった。
登場人物も、特徴のある変わりものの魅力的な人たちで、とても良い。
現代でこういう話を書こうとすれば、「差別的だ」とかいって弾圧されちゃうのかな。「孤島の鬼」だけなら間違いなく星5つ付けてた。
「湖畔亭事件」、主人公は逗留している宿で、ある仕掛けを使い、"覗き"を愉しんでいた。しかしある時その仕掛けから飛び込んできた映像は、男の持つ短刀とその凶器に倒れる女性だった。あわててかけつけるが、そこには何もなかった……と、不思議な殺人事件という点で共通しているから同じ本に収めたのかな。
こちらは「孤島の鬼」ほどスケールは大きくないし、すべてがわかってしまえば単純なものだけど、それをうまく謎にして、楽しめるようにしてある。
いやはや、本当にさすがは乱歩!脱帽しました。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説:日本人作家 アーオ
- 感想投稿日 : 2011年5月7日
- 読了日 : 2011年5月6日
- 本棚登録日 : 2011年5月6日
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