月夜行路

著者 :
  • 講談社 (2023年8月9日発売)
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本棚登録 : 532
感想 : 60
4

イヤミスの旗手と言われる秋吉理香子さん。
これまで読んだのは
『絶対主義』と『終活中毒』
私、”イヤミス”はちょっと苦手なはずなのに
既読の2冊は☆4をつけていて、なかなかに面白かった。

『月夜行路』は
フォローしているインスタグラマーさんおススメ。
手にしてみたら
これまでの”イヤミス”とは違って
ちょっと考えさせられて心に沁みるミステリだった。
『月夜行路』は大阪で涼子の元彼を探す旅。
大阪人には馴染みの深い町の描写があって
思わず「おぉー!」と声をあげたくなる。

大阪人で読書好きと公言している私だが
文中で二人が言う
「大阪を歩けば文学に当たる」だとか
「大阪の街って、文学で編まれてるんじゃないの」
なんてことは、これまで一度たりとも思ったことがない。
大阪にこれほど多くの文学碑などがあるとさえ知らなかった。
大阪を舞台にした小説が数多くあることは知っていたけれど
「えっ?! そんなに?」と本当にびっくりしたのが正直なところ。

ルナと涼子は『月夜行路』の中で
なんと14か所もの文学ゆかりの地を訪れたののですよ。
14か所!そう14か所!
(と、なぜだかちょっと興奮しておりまする)

大阪を舞台にした文学と言えば~
私が思い浮かべるのは
「曽根崎心中」「夫婦善哉」・・・
昭和も昭和、昭和のど真ん中生まれだが
なぜだか、思い浮かぶのはこの二つ。
でも、私、この二作品は読んだことがない
なのに何故この二作品?
実はどちらも舞台を観たことがあるのだ。
ちなみに「曽根崎心中」は蜷川幸雄さんの演出で、主演は坂東八十助さんと関根恵子さん。
「夫婦善哉」は藤田まことさんと宮本信子さんが主演。
(この時は母と祖母と三人での観劇だったなぁ…)
どちらももう30年近くまえのこと。
あら、私、すごい記憶力?
いえいえ、それだけ舞台がすばらしくて忘れられないのだ。
と、話があっちゃこっちゃ行ってしまったが…

『月夜行路』は小説として楽しめて
大阪文学旅としても楽しめて
”一粒で二度おいしい”、まるでアーモンドグリコのような…
ちなみにグリコの本社は大阪!
あっ、これは有名でしたね

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: その他・あ行の作家
感想投稿日 : 2024年2月7日
読了日 : 2024年2月1日
本棚登録日 : 2024年2月1日

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