グッド・バイ (新潮文庫)

著者 :
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感想 : 260
5

太宰治の未完の絶筆。
めちゃくちゃ面白い。キヌ子最高!
こんな面白い話を最後まで書かずに逝ってしまわれた太宰治大先生!続き書いて下さい。と懇願したい。
田島が女性関係の身辺整理をしたいのだが、どうすれば?ということで無責任な文士の出まかせ提案に乗って、美女を連れて妻になったとふれ歩く作戦。怪力、大食い、普段は担ぎ屋の汚いなり、しかし物凄く美人のキヌ子を使うことに。
一人目は、腕のいい美人美容師。上手くいくのだが、キヌ子が、そんなにパーマは上手くもない、美人なのに別れてしまうなんて意気地がないなど、ズケズケ。田島がやめろ、というと「おやおやおそれいりまめ」と茶化す。キヌ子を、逆にものにしてやれと乗り込むが、最後は怪力で頬を殴られ撤退。その辺もすごく面白い。痛快!
で、二人目のケイ子にとりかかるところで、作者がグッド・バイしてしまったのです。あー残念。
作者の言葉
「唐詩選の五言絶句に「人生足別離」ー私のある先輩はこれをサヨナラだけが人生だと訳した。
相逢った時のよろこびはつかのまに消えるものだけれど、別離の傷心は深く、私たちは常に惜別の情の中に生きているといっても過言ではない。題して「グッド・バイ」現代紳士淑女の別離百態といっては大袈裟だけれども、さまざまの別離の様相を写し得たらさいわい。」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年3月17日
読了日 : 2024年3月17日
本棚登録日 : 2024年3月17日

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