イスラムがヨーロッパ世界を創造した 歴史に探る「共存の道」(光文社新書) (光文社新書 1199)
- 光文社 (2022年5月17日発売)
本棚登録 : 78人
感想 : 9件
ルーツは同じとされれユダヤ教とキリスト教とイスラム教。ヨーロッパがいわゆる暗黒の中世を経てルネサンスに至るまでには、イスラム世界でギリシャの哲学、科学が温存され受け継がれ、ものによっては新たな発展を遂げていたからこそ。ヨーロッパの侵略者としてのイスラム勢力の別の面を知ることは現代の理解にもつながる。スペイン南部のトレドなどは学問的な寛容さの象徴といえる。
文化・食文化についてもしかり。中東、北アフリカ発の文化もあれば、インド・中央アジアで生まれてイスラム世界を経てヨーロッパに伝播したものもある。ヨーロッパの食の豊かさはイスラム世界なくしては実現し得なかったかもしれない。
最後に、筆者も説いている部分ではあるが、現代のヨーロッパが一部で異文化や異民族への寛容さを失い、イスラムを敵対とは言わないまでも警戒している風潮が広がっている。しかし上記のような歴史を理解をしておくことは日本人にとっても重要なことであると認識した。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
国際
- 感想投稿日 : 2024年1月2日
- 読了日 : 2023年12月9日
- 本棚登録日 : 2023年11月12日
みんなの感想をみる