一代御目見えの半席を脱して、息子を生まれながらの旗本したい徒目付、片岡直人を主人公とした短編集。望む勘定方への出世を得られるような表の仕事ではなく、組頭の内藤雅之から解決した後の事件が「なぜ」起きなければならなかったのかという裏事情を探る役割を押し付けられる。犯人はわかっているが、「なぜ」の部分を知りたい人のためにそれを探る。前振りに比べて、結論至る家庭があまりに短く、短編であるが故の物足りなさがあるが、青山文平の長編の登場人物とは違う明るさのある登場人物は魅力的である。時代小説の先人たちと同じく、直人と雅之が交わす釣りやら食やらにまつわる無駄話を含め、雅之に語らせる語る様々な事柄が楽しい。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2023年2月12日
- 読了日 : 2023年3月7日
- 本棚登録日 : 2023年2月9日
みんなの感想をみる