オオカミの護符

著者 :
  • 新潮社 (2011年12月15日発売)
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首都圏のベッドタウンとしてすっかり開発されてしまった町に生まれた著者は、実家の倉に貼られたオオカミが描かれた護符に引きつけられるように、オオカミ信仰そしてその先の山岳信仰の世界へと惹き込まれていきます。

様々な「講」と呼ばれる民間信仰のようなものがあったことは、石碑を尋ね歩くなかで知ってはいました。
しかし、まさかいまだにそれが続いているとは・・正直、驚きました。

しかも続いているその土地、地域は首都圏の中、私から見れば都会もいいところです。
そこで続いているのなら、身近にもきっと続いているんでしょうね・・。

しきたりや儀式のようなものがあり、その様子は生き生きと描かれています。
とても分かりやすい文章で、非常に興味深く読めました。

山へ詣でる里の人たちを迎える、山の人たちもしっかりと伝統を守っています。
山に囲まれ、自然に抱かれて暮らすというのは、身近になにか特別な存在を感じるのかも。
神様とか、お山とかを敬う気持ちって、自然と湧き出るようなものなのかもしれません。

仏教に取り込まれたり、廃仏毀釈の波に遭ったり・・いろいろありながらもずっと続いてきたこうした風習って、日本人・・というか人間の根っこのところになんかつながってる感じがしました。

民間信仰とかに興味のある方は楽しく読めると思います。
でも、入門書的かな・・詳しい方には物足りないかも・・^^;。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史系
感想投稿日 : 2012年12月12日
読了日 : 2012年12月10日
本棚登録日 : 2012年11月29日

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