物語の世界に没頭したい質の私はあまり短編集は好んで読む方ではない。しかし、本書は素晴らしかった。
太宰治の執筆活動による中期に書かれた作品集なので、晩年のとことん破滅的、反逆者的な側面は少々なりを潜めており、所々普通に笑かしてくる。
特に「風の便り」ではお笑いコントのような軽快さで偏屈な貧乏作家と毒舌なベテラン老作家の手紙のやり取りがなされていく。突然の「馬鹿野郎」は声に出して笑った。
だからといって、やはり太宰治なので一貫して厭世的でありネガティブである。
太宰治は「人間失格」で完成されてしまっているので、作品順に読んでいくのもまた一興。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年5月24日
- 読了日 : 2023年5月24日
- 本棚登録日 : 2023年5月24日
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